12/11(金)、三軒茶屋Grapefruit Moon「Ryo Yoshinaga presents "+ Yksi"」。Ryo Yoshinagaさん出演の今年最後のライブが行われました。
タイトルの "Yksi" とは、Ryoさんが愛してやまないフィンランドの言葉で「One=
1」。プラスワン、ということでクリスマス・年末のこの時期、2020⇒2021に向けてのプラスワンになるような一夜にできたらという気持ちを込めて付けられたということです。そして、ゲストの方をお招きしてプラス1のライブを一段と華やかに、一味加えたクリスマスのお祝いのひと時を過ごしましょう、との粋な計らいです。
三軒茶屋Grapefruit Moonは先月11/8、Ryoさんが3マンライブを行った場所で土地勘もかなりついてきまして、今日は違う細い道を通ったりして会場に向かうなど、すっかり東西南北がはっきりしてきたなぁと思います。それにしても世間では第3波が押し寄せて開催自体も危ぶまれる状況ではありましたが、何とかセーフ、というところでした。当然 防止対策は万全の上ですが、本当に開催ができてよかったと思います。
検温・消毒・受付を済ませ中へ。ステージは一度来たら忘れられない特徴的な装飾がある壁にイスが2つ左と中央に。右にはキーボードが1台です。Grapefruit moonでの大きな特徴は豪華な配信設備。お洒落な色具合で温かな雰囲気が出る映像が撮影できる数々の装置。パンを振るレールの上をすべるカメラと、客席後部から伸びるクレーンカメラ。ここまでやるのはGrapefruit moonさんだけでしょう。実際、映し出された映像はカメラワークやフォーカスなど、演出がすごく研究されていて、演者も納得いくクオリティとなります。
今日のワンマンは第一部がRyoさん、第二部が貴愛(きえ)さん、第三部がコラボ、第四部がRyoさんという四部構成からなります。来場者にはRyoさんからこんな可愛いクリスマスカードが配られました。
※セットは推定。
【第一部】
<Ryo Yoshinagaさん>Pf.ハナブサユウキさん
1)Jingle Bells~Joy To The World
2)星になる
3)Am I the same girl(Swing Out Sister)
4)mine
5)アンテノール
6)Unelma
第一部は、Ryoさんとはなぶーさんのデュオです。Ryoさんはグレーのドレス、今まで見たことなかった衣装ですが、とても素敵です。出だしは はなぶーさんの流れるような美しい鍵盤から。クリスマスの夜の優しさ・暖かさが伝わるJingle Bellsのインストから。何ともお洒落な雰囲気を保ちつつ、RyoさんがVo.を入れる。Joy To The World~ これは「諸人こぞりて」ですが、アレンジが掛かっている旋律です。やはりこのホーリーな夜を感じ取れるような素敵な声が響きます。もうすっかりクリスマス気分の中、この曲に繋がるように鍵盤の細かく刻む小気味よいリズムに切り替わる。「星になる」クリスマス時期にピッタリなRyoさんの夜空を仰ぐような曲。命はやがて星になり私を照らす、私はいつでも星になってあなたに逢えると歌う。Ryoさんは ”時間”とか”距離感”とかをとても大事にして音楽に取り入れているので、この「星になる」は地上と天空の距離は実は大したことではなく。。。と勝手に解釈します。そして曲はお洒落なコード進行を使う。はなぶーさんもその曲に乗って色々仕掛けてきます。キメの部分が凄かったり、エンディングのリズムを変えたり。結構気合いが入っていますね! そして「星になる」が終わろうとしたら続けざまに同じリズムで次の曲へ。この曲聴いたことある!と思って旋律を覚えておいて後で調べたら「Am I the same girl」(で間違いないはず)。2人が傾倒するSwing Out Sisterの曲。オマージュとして「星になる」が作られたようですね。80年代の曲なのでこっちがリアル世代なのですが、笑っちゃうくらい洋楽オンチなのでいちいち調べています。でもですね、自分もSOSのような音楽は好きなのです。出会えなかっただけ。出会いのきっかけをくれた2人に感謝です。しかし2人ともリズム感すごいし、鍵盤もダイナミックで低音もガツンガツン来るなぁ。「mine」はファーストアルバムのViileaからの1曲。はなぶーさんの軽快な鍵盤の流れに身体が乗る。サビでは4ビートの刻みが4小節ごとにクレシェンドして曲を盛り上げる。viileaの曲は中々取り上げられない中、mineはコンスタントに歌われる曲なので結構嬉しいです。それだけRyoさんが大切にしている曲だと思います。”私はここに~”で人差し指を下に向け、堅い意思を表現。1度アップ後のサビでは切れ味あるRyoさんのボーカルとファルセットが炸裂します。 Viileaの各曲って、2枚目のLoistaaとは違い心の中に広がる青空や雲、をイメージした感じかと思います。Loistaaは星や夜空。
ここで小MC。今回は年の瀬忘年会みたいな意味で乾杯などもやりたかったけど、マスクもしているし、乾杯代わりに2020年の総まとめ的な意味合いで楽しんでくださいねと。
「アンテノール」。Ryo Yoshinagaの音楽からは最も離れた世界の曲。こういう一面も持っているんだと変に納得させる。人間=男女の心の揺れ動きや動いた結果の自虐を艶めかしく描く。Ryoさんの視線も鋭く何か裏ごころがありそうなオトナ感覚や、言葉は悪いが陰湿な曲の雰囲気を出すはなぶーさんの音の表現力も高い。収録されたLoistaaはそういう意味での”夜”なのかと思ったりして。”出会わないほうが幸せな結末を 知らないほうが幸せな結末を” 場面は変わって夢=「Unelma」の話。2020年の思いは色んな意味で難しい状況だったけど、2021年に向けての「夢」は叶えられるようにと。そう、叶うことが前提。これが「Unelma」です。はなぶーさん鍵盤のEP音色が一段と華やかに変わり、優しく煌めきます。最初アンテノールからの流れでゆっくり目で、そこからのサビでは輝かしく素敵なボーカルが響き渡る。鍵盤ソロもまた物凄く変化を掛けてきて凄い。
【第二部】
<貴愛さん>Pf.ハナブサユウキさん
7)Everlasting Love
8)Fantasia
第二部は、ボーカルをゲスト・貴愛さんが担います。貴愛さんは2019/1/16の代官山LOOPでRyoさんとの対バンの時にステージを拝見しています。その後2019/3/31駒沢と7月のLDHはタイミングが合わなかったので、約2年ぶり?の拝見となります。同い年でRyoさんとは大の仲良しの実力派ボーカリストということもあり、ゲストとして相応しい出演です。「Everlasting Love」は燃えるような熱いバラード。Everlasting Love=永遠に続く愛を描く。 ”いつでも隣で微笑んで、終わりない愛がここにあるんだと きっと出会って知ったEverlasting Love” 2番目のサビの後のCメロに入る展開とか見事でしたし、何にせよ妖艶な声質が色っぽいです。はなぶーさんの鍵盤も美しい。過去映像でル・アンジェ教会(お、南青山ル・アンジェ教会!)で歌ったYoutube(short.ver)が公開されいてます。https://youtu.be/8BRHnehLbes「Fantasia」は先程とは変わって打ち込みビートに乗せたガーリーな愛を歌うHIPPOPなナンバー。こういう曲も歌うのかという幅を感じました。
【第三部】
<コラボタイム>Pf.ハナブサユウキさん
9)Dear Again(広瀬香美)
10)This Christmas(Donny Hathaway)
再びRyoさんがステージに。2人のボーカリストの共演となります。まずは、クリスマスを代表するカバー曲、「Dear Again」。「ロマンスの神様」で有名なゲレンデの帝王・広瀬香美さんの歌唱力が発揮される曲。それに匹敵する歌唱力がある2人にはピッタリです。2人で交互にパートを取ったり、サビではRyoさん?が上ハモを取ったり。とても綺麗なボーカルでした。それぞれの声質の特徴もあって、貴愛さんは密やかなシリアス系・Ryoさんはパシーッと元気系でどちらも魅力的です。自分はこの曲はリアル世代で、90年代中盤のこの曲結構聴いていました。広瀬さんのボーカルはかなり力が入っていてタメを作ったり絞り出したりPOPSの歌い方ではなく、Bメロなんか特に演歌に近い(自分は広瀬さんの演歌だと思っている曲です)。Ryoさんは別のバージョンで知っていたそうですが、どちらがどちら? 原曲とは一線を介したとても素敵なDear Againでした。MCでは2人のお話。自粛期間の時間の使い方などを。この時期だからこそできることを2人それぞれ行ったそうです。ガジェット好きでこの期間に強化したという貴愛さんは自分とはウマが合いそうです。そして2021年はいったいどうなるか?Ryoさんは今年色んなことがあったから来年は絶対いいことがあると。さすがRyoさん、前向き指向が素晴らしいです。続いての曲「This Christmas」。超有名な曲で 誰もがどこかで聴いたことがある曲。曲名や歌手名までは調べないと出てこない。カバーも多くの人が歌っております。最初はDonny Hathawayらしい。2人ハーモニーと小気味いい はなぶーさんの鍵盤がクリスマス色を演出します。やはり洋楽のクリスマスらしい華やかさがこの曲にあります。
【第四部】
<Ryo Yoshinagaさん>Pf.ハナブサユウキさん
11)Lupaus
12)タイムフライズ
13)M.W.F.W.
14)Leap
再びRyoさんと はなぶーさんのコンビによる終盤戦。ここからはRyo Yoshinagaの世界に戻ります。Ryoさんがこの自粛期間中の思いを結集した2020年を代表する曲、「Luapus」と「タイムフライズ」。「Lupaus」は行きたいところに行けない、逢いたい人に逢えない。そんな状況でも いつでもあの街・あの場所・あの人はそこで待っているから 会えるまで頑張ってみよう、そんなメッセージを込めた曲。思いは募りますが楽曲はRyo Yoshinaga風に洋のテーストを交え軽やかに奏でる音楽。本ブログでは何度も同じことを書いておりますが、敢えて悲観することを避け、あくまでも前を向きまた来る楽しき世界を夢見る、そんなベクトルを持つということは素晴らしいことだと思います。EPの音色は華やかで、クリスマスらしい雰囲気のLupausでした。「タイムフライズ」は、自粛期間でやりたいことが何もできない状態でも 時間は経過する、限りある時間・瞬間を大切にするのはどんな時でも同じでしょう?と説きます。そう、止まっていても世界は動く。はなぶーさんの鍵盤の展開がサンバ調から4ビート、そして1度下がった転調と目まぐるしく変わるというのもなんか(時間は待ってくれないよ)と言っているような気が(時の刻み)。人の動きが止まった中でも通信が整い、リモートで人は繋がる。今の時代を察知したハイセンスな音楽です。はなぶーさん、結構アグレッシブな鍵盤で、2曲とも結構ハードな演奏です。この曲はボーカル・鍵盤2人の闘い。お互いに畳みかける音楽です。次の「M.W.F.W.」はRyoさんと はなぶーさん共作のアグレッシブなナンバーでは、さらにエナジーが漲ります。思い出したのは、2019年3月の ひま広ワンマン、M.W.F.Wの初披露でした。あの時も Ryoさん・はなぶーさんとの2人で、おお、こんな曲も作るのか!と驚嘆したのを思い出しました。それだけ色々な音楽をやってきた2人だし、ガンガン攻める曲というのも当然かなと。やはり燃料消費が凄そうで、はなぶーさんも結構大変そうです。これ全部のパートを鍵盤1つでやるから。。エネルギー切れに更に発破をかけるように、次は最後の曲、「Leap」。その前のMCではGrapefruit moonの演出のことを。視聴者にとっても見ごたえがある映像で演者の素敵な音楽を可能な限り伝えようとする姿勢をRyoさんは評価し、そこで歌える喜びを表現しておりました。そしてRyoさんワンマンを記念して贈られた、あるファンからの大きな花束。こういったステージを支える側、観客として応援する側、双方の力があってこそ前進できる、本当にアーティスト冥利に尽きると。2021年もこうして音楽を頑張っていられる、そんな気持ちを身体一杯に表現しておりました。Ryoさんの顔はとても晴れやかで、最後に歌う「Leap」=(飛躍)は、それを直接周囲に伝えるメッセージとして、刻まれたことだと思います。来年に向け飛んでいけるように、自分も口ずさんでおりました。
”晴れの日が怖くても 雨の日を憂いても 朝は私に追いついてしまう それが生きているということ 一歩だけその一歩でいい 海だって越えられる時代でしょう 胸に手を当て聴いてみて Leap up for tomorrow 飛び立つ時が来た”
2021年、まずは元気であること!そして音楽が楽しめるコンディションであること!Ryoさんらしい元気ハツラツな2020年締めの曲となりました。
Enc)だから今夜も誰かが歌う
アンコールは、Ryoさんの曲の中でも特にハッピーなこの曲です。ボーカルのストレートさが直に耳に届く、ド直球に言葉で伝えなきゃダメなんだよ、と説く曲です。
”鮮やかな夜空 見上げれば今夜 思い浮かぶ君の顔 柄にもなく 不確かな今を 見つめれば刹那 願うだけじゃ想いは伝わらなく だから言葉があるのでしょう だから今夜も誰かが愛を歌うのでしょう”
これも時間とのせめぎ合い、というのでしょうか。今世(こんぜい。ね!)の時間の流れは複雑。思ってるだけじゃなく、大切なチャンスはタイミングよく伝えることが重要だよ、と言っている感じがします。言葉の区切りもキマっていていいですね。この曲を最後の最後に持ってきた、来年に繋がる気持ち、元気な歌声、特に感じました。
Ryo Yoshiangaさんの2020年のワンマンライブは終了しました。物販では貴愛さんの曲も良かったので、物販を購入、数年前のアルバムで、結構アグレッシブな曲が多いですね。バラードが素晴らしかったので、また聴きたいです。Ryoさん今日もありがとう!ハーバリウムがありましたので、今まで買う機会がなかったのですが、今回初めて購入しました。自分のライブの他にコーラス出演などありますので、この素敵な歌声を多くの機会で聴きたいともいます。MCでもハモを乗せるのは得意だと言っていたし、2021年は歌声を披露することも重点なのかなと思います。シンガーソングライターとしての活動についても2020年より増えること、願っております。今年は無観客配信もありました。
Ryo Yoshiangaさんのライブは2020年はリアルライブでは全部参加できました。皆勤すればいいってものではなく、それぞれのライブの良さ・ポイントを何らかの形で伝えなくては、と思います。正確に言うと、2019/12/24の自由が丘から今回までと、配信では5月七面鳥・7月Grapesバースデー配信・9月大塚maruと配信も網羅した(?)つもりです。
余談)ハーバリウムについて
「ハーバリウム」。こういうものに縁がなかった自分は、いったいどんなモノだろうと調べてみました。ハンドメイドやワークショップが好きな人は関心があるのでしょうが、自分は初めてです。ハーバリウムはインテリアフラワーの1つで、プリザーブドフラワー(生花や葉を保存性を良くするため特殊液の中に沈めて、水分を抜いた素材)やドライフラワーをガラスの小瓶に入れ、保存用の専用オイルに浸してお花本来の瑞々しさを長期間保つことができ、しかも面倒な世話や手入れは一切不要。花の他、ビー玉やドライフルーツを入れたり、インテリアとして見た目を華やかにしています。ではその花を漬け込む専用オイルとは?これは大きく分けて2種類、ミネラルオイルとシリコンオイルがあり、ミネラルオイルは流動パラフィンでいわゆる有機溶媒系、比較して引火点が低く、比重が軽め。屈折率が高いので中の花が華やかに見えるそうです。シリコンオイルはケイ素が分子上に存在し比較して熱に強く引火点が高くて、比重が重め。屈折率が比較して低めの代わりに中身の光沢性があるそうです。またハーバリウム専用の純度の高いオイルを使用しないと綺麗には作れないそうです。脂溶性の色素を含んだ花を使う場合はミネラルオイルだと徐々に色素がオイルに移行してしまうので、シリコンオイルが適するとか、ミネラルオイルは氷点下だと濁ることがある。シリコンオイルはシリコンアレルギーの人は気を付けなくては。オイルなので瓶の蓋はしっかり締めておかなければならないとか、廃棄するときは食用油同様、新聞紙などに沁みこませて捨てるとか。など色々奥深い知識が得られて面白いです。出来上がったものを眺めて楽しむだけでなく、どうやって作るのかとか、作り手がいかに贈る相手のことを考えているか、更に「花の美しさが変わらないように封じ込める」と言った多くの思いをハーバリウムに感じてしまいます。
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