2/16(土)、四谷SOUND CREEK Doppo「小林未郁 iNO ピアノ弾き語り2マンライブ『ミカイノセカイ(未開の世界)』」。2人のスーパーアーティストによるピアノ弾き語りツーマンライブ(儀式)でした。
昨年からライブステージや他のアーティストのお客さんとして何度もお会いしているiNOさんとメディア露出もありつつ国内外で活躍され、バンド活動もしながら弾き語りも定評があり、自分も昨年から何度かライブに足を運ばせて頂いている小林未郁さんとのツーマンライブ。それぞれ全く接点がないままお二人のライブにはそれぞれ顔を出しておりましたが、暮れに今日のライブが発表されて以来、マジか、こんなことが実現するとは!と思わずと眼を疑ってしまい、すぐに予約を取りました。この時期はいつも開催ギリギリの予約なのですが。。それだけ注目のカードでもありますし、チャンスを逃すまいと思っておりました。
Doppoは3度目の来訪。店の前は長蛇の列です。既にチケットは完売し、未郁さんのツィートでは『会場はぎゅうぎゅうですので窒息させる気で臨みます』という未郁さんらしいコメント。客席は超満員。何とか一番前の向かって最も左側の席を確保。確かに窒息しそう。。
<iNOさん>
iNOさんのステージは1月の銀座MiiyaCafe以来。Doppoでは9月に別のアーティストとのツーマンがありました。あの時はDoppoの店長のDr.とのコラボでプロムナード(ムソルグスキー)の演奏があったりして、なかなか珍しいステージだったと記憶しています。今日はピアノ弾き語り1本です。衣装は未郁さんとの対バンを意識してか、ゴスロリ系のドレスが色っぽい。
①white moon
②砂の城
③et se
④line
⑤Reborn
⑥ウェディングロード
⑦楽問のすゝめ
⑧the wheel of life
iNOさんの音楽はクラシカルなテクニックに裏打ちされた高音のファルセットがとてもきれいなで囁く優しい基調のボーカル、ただし場面に応じて放つパワーあるボイスは抑揚がしっかりしてとてもレベルが高い。鍵盤は流れるように、曲調は幾重にも変化する楽章を持ったような複雑な組み合わせ。 ●「white moon」揺るかに流れるピアノから優しい歌声で始まる、朝焼けに浮かぶ月をテーマにした曲。 ”それでも私は朝日の中にいる 白さへと溶けてまざってく” ●「砂の城」静寂の中、砂浜に築かれた城がもろくも崩れ去るさま、荒波のごとく歌う。 ”変わらぬ物が欲しいと願ったならどうしてそれを手に入れることができる?!” という場面で気迫の籠った手の突き上げ。 MCでは 『お酒大好きシンガーソングライターです。ビール1杯は水みたいなもんかなっ』と笑いを誘う。 ●「et se」は10代の頃に書いたという年齢にかからず色気ある昭和歌謡のテーストも入ったJazz系の4ビートがポイント。若いうちから既にこんな曲を書くのですね。 ●「line」音源未収録。社会人になって間もなくの心の葛藤を描く。世界の広さを感じつつも、自分をしっかり見つめる。心の中の遠くの眼から自分を俯瞰してみようと自ら言い聞かせるというような主旨。●「Reborn」目覚めるたび生まれ変わったら悲しみは消えるのか、生まれ変わったても失くしたくない大切な想いもある。 ●「ウェディングロード」知人の結婚式で歌うために作った曲。新郎の気持ちになったつもりで ”君を迎えに行く こんなにも大切な人の顔 ありがとう 愛する人に出会えました 僕は君を幸せにします” 途中で結婚行進曲のアレンジが入り華々しさが際立つ。
●「楽問のすゝめ」今までしっとり系の曲を作ることが多めでしたが、たまには心温まる曲も歌ったりします。リズムある曲調でこちらもウキウキします。 ●「the wheel of life」iNOさんのクライマックスではいつも歌われる『命の車輪』。 ”ジャッジャーン ~ 吹く風に乗せた命の便りを~” と入るイントロがカッコいい。そこから流れるような横の旋律と幾多にも変化する映画のストーリーのように荒波の如く強弱の展開。特に終盤の転調からの力強い声とピアノが凄まじい。
調べたら「wheel of life」というのは人生の方向性を決めるレーダーチャートのような円形の図で、いくつかの選択肢から自分が最も優先すべき項目を上げ、そこに向かって人生を進んでいくというのもあるそうです。それとリンクしているかは分かりませんが、迷い迷っても何らかの答えを見つけて進まねばならない、そんな気持ちをこの曲に感じます。
<小林未郁さん>
未郁さんは9月の渋谷Jz Bratでのバンド「三日天下」ワンマンライブや10月のSEEDSHIP弾き語りなど、昨年は魅力たっぷりの音楽を聴かせていただきました。12/24の汐留ワンマン・1月のSEEDSHIPは行けなかったのでようやく今年最初の未郁さんライブ(儀式)が叶いました(参列)。その間国内外でのご活躍など、大変多忙な中、Doppoに来て頂けたのは誠に貴重な機会でした。前述の通り、座った席は最前列。こんなに間近で未郁さんの弾き語りが!
①僕のお葬式
②雫語り
③宝探し
④絡新婦
⑤ご主人様
⑥一人遊び
⑦毒
⑧飼育小屋
⑨ハテヌイノチ
⑩パラレルパーティー
En.迷宮入り
未郁さんの打鍵は正確無比で鮮明な音。中途半端な音を許さない(VELOCITYは0か100)。それがものの見事にピタッと旋律にハマって気持ちいいくらい。そしてクリアで突き刺さるようなハイトーンの声。静寂の中、儀式の進行が進みます。時計の振り子のように奏でる ●「僕のお葬式」、●「雫語り」”やわらかな鼓動は心のチョコレートの中 割れるほどの思いを溶かして飲み干してください にチョコレートに溶けて”。 バレンタインデー近くのこの時期に合うようにチョイスしたのでしょうか、チョコレート絡みの曲で。●「宝探し」⇒●「絡新婦(じょろうぐも)」まで間髪を入れずに。MCは静かにぽつぽつとお話しされました。『初めましてのアーティストとの対バンは楽しみ。お酒も好きということで仲良くなれそう』と微笑ましい笑いをとりながら。●「ご主人様」は、自分をペットに例えて。 ”ご主人様は人殺し。ただ僕には優しい人。ご飯をくれたり首輪を引いたり。いつかどこかに連れ去られてしまう時が来ても僕は待っています。ご主人様” ●「一人遊び」⇒●「毒」⇒●「飼育小屋」と、束縛・情念をテーマとした未郁さんを代表する曲を張りつめた空気の中、連続で。息を飲むような歌声とピアノに自分(参列者)の身体は硬直しました。この「毒」⇒「飼育小屋」という鬼気迫る展開はホントにすごい。。。●「ハテヌイノチ」は昔作った曲。音楽活動の駆け出しの頃、活動を継続することのツラさを描いているとのこと。”高層ビルに沈みゆく夕日を眺めてその場に立ち尽くしてしまった~人は無責任に夢を描けと言うけど~空の果て漂うような孤独でも私はここにある 命燃やして存在している星になれ~今を輝けばいい” 厳しさに耐えながらも明日を夢見て生きてゆく。イノチは果てない。そんな気持ちをもった曲と感じました。同年代の様々なアーティストが方向性を変えてゆく中、自分は音楽活動をどうにか続けられている、そんな気持ちだそうです(曲自体は転調が特殊で技巧的な側面も見えます)。●「パラレルパーティー」静かな入りからサビでは翻るようにダイナミックな展開で魅了しました。最後鍵盤の両端を左手と右手を一杯に開き圧巻の演奏です。アンコール●「迷宮入り」のすごいパワーの声と拡がりのあるピアノ、ただすごい。 ”~螺旋階段をぐるぐる上っていく何も聞こえないままこんなにも歩き続けて貴方を思っていた 石の壁の中で冷たい息を吐いた 街の中に重なる鐘の音が響いたら~私の亡骸は埋めて~”。
以前別のアーティストさんが未郁さんのピアノを評していましたが、余計なものを一切省き極限まで削ぎ落とされている、と。確かにそんな姿勢で聴いていると実に思います。全く無駄がない。そして未郁さんの何かが憑依したような表現力のある歌詞とスーパーボイスに包まれた『儀式』に途轍もなく圧倒されるばかりでした。
あっというまの2時間弱、それぞれの持ち味を発揮したツーマン、素晴らしい時間を過ごすことができました。未郁さんにご挨拶したところ、自分の顔やTwitterのアカウント名も何となく見覚えがあったようです。覚えてくれていただけでも大感謝、光栄です。そしてiNOさん、未郁さんとの対バンでも臆することなく美しい音楽を披露してくれました。お酒好きのお二人、終了後の美酒には酔いしれたことでしょう。やり切った感。こちらも聴き切った感を胸にこの地を後にしました。Doppoさんもこのツーマンを開催して頂き、さぞかし大変だったかと思います。本当にありがとうございました。
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